2007年6月11日月曜日

美智子さん

新学期が始まって今日で1週間。

日本語学科では、今学期から家庭の事情で大学に来られなくなった2年生の男子学生がいます。彼の名はT君。日本語学科の学生はみんな日本名を持っていて、T君の日本名は “美智子”という名前で、私は彼を“美智子さん”と呼んでいます。

美智子さんはクラスの中では日本語の成績も良く、去年、彼は女子寮にある美容院でアルバイトをしながら大学に通っていました。また、勉強のほかに踊りも上手で、大学のイベントがあると必ず華やかな衣装を身にまとい、お化粧もばっちりきめてタイ舞踊などを踊ってくれる学生でした。

そんな美智子さんが大学をやめて、来週からバンコクで働くらしいという噂を聞きつけた私は彼を職員室に呼んで、今後どうするのかを話し合うことにしました。他の学生によると、彼の両親は稲作農家で、事情により今年から学費が支払えなくなったとのこと。

大学の学費は年間1万バーツ必要です(日本円で約3万円)。1万バーツだったら、資金援助できるかもしれないなあと考えていましたが、今日のいでたちは、この前会った時と違うヘアスタイルで、しかも、かわいい女子学生の制服を着て登場。美智子さんと話をしているうちに、学費が支払えないわりに携帯電話を2台持っていることが判明。

どうしたものかと頭を抱える私をよそに、彼はひと通り私の話を聞いた後、明るくこう言ったのでした。「佐藤先生、ありがとうございます。でも、マイペンライ!先生、私は大丈夫です。バンコクで働きます。そして、お金を貯めて、もう一度この大学に戻ってきます。」と。

美智子さん